『いのちを感じる一文』リスト

こちらは #いのちのしおり で朗読音声を投稿するための『いのちを感じる一文』リストが掲載されているページです。

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※開催期間は2024年2月~4月を予定しています。

『いのちを感じる一文』リスト

応募/MARIO
MARIO『うつ』より

僕は自分が嫌いじゃない。

でも
もう、つらい。
人生がつらい。
生きづらい。
死にたい。
楽になりたい。
でも、悲しむ人がいる。
悲しむ人がいるからつらい。

「生きていれば必ず」
いや、生きればこの辛さを明日に持ち越すだけ。

こんな僕を見て君は「鬱」だと思うかもしれない。
病院に行こうって言ってくれるかもしれない。
もしかしたら、関わらないほうがいいと思うかもしれない。

「あなたの目    虚ろね。」
「あなた 苦労 してるのね。」

美しい。
僕は美しい。
すぐ、うつむく僕は美しい。
こんな理由なき辛さを抱えてる僕は鬱らしい。
でも、美しい。
鬱らしいのに美しい。

人には「弱さ」がある。
でも弱さなんてない。
人には「強さ」がある。
でも強さなんてない。

強弱を求めるからおかしくなる。
でもどうしても強弱を求めてしまう。

矛盾の中で 生きてる。
「ここ」 と 「ここ」
この ちょうど 真ん中
そう、ここ。
ここの中で生きてる。  
だから辛い。暗い。

生きることは難しい
生きてる僕は鬱らしい
この目に写るすべてが「幸せ」じゃない。
そう写るらしい
生きることは難しい

でも
そうやって 
生きようと、もがく美しさ
それが誰かの胸を打つんだろう。

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応募/悦子77歳
太宰治『葉桜と魔笛』より

青春というものは、ずいぶん大事なものなのよ。あたし、病気になってから、それが、はっきりわかって来たの。ひとりで、自分あての手紙なんか書いてるなんて、汚い。あさましい。ばかだ。あたしは、ほんとうに男のかたと、大胆に遊べば、よかった。あたしのからだを、しっかり抱いてもらいたかった。姉さん、私は今までいちども、恋人どころか、よその男のかたと話してみたこともなかった。姉さんだって、そうなのね。姉さん、あたしたち間違っていた。お利口すぎた。ああ、死ぬなんて、いやだ。あたしの手が、指先が、髪が、可哀そう。死ぬなんて、いやだ。いやだ。

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応募/さらみ
素木しづ『晩餐』より

『そうだ、一日々々(いちにちいちにち)いろいろなことに疲らされなやまされ苦しまされても、二年はもう過ぎたんだからな。もうしばらくすると、坊やも歩くようになるんだから。』
 男は、手持ぶさたのようにスプーンを持って立ってる子供を見た。彼女は、すぐに嬉しそうに、
『坊や。』と大きな声を出した、子供はそれと同時に大きな叫声(さけびごえ)を上げて、母親の顔を見ながら、
『うまうまうまうま。』とスプーンをテーブルにたたきつけた。

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応募/Royalmilktea
水城雄『祈る人』より

世界は紛争(ふんそう)と災害と貧困(ひんこん)でおおわれている。 あなたには関係のないところで銃弾が飛び交い、地雷が破裂している。あなたには関係のないところで子どもが飢え、疫病(えきびょう)が蔓延(まんえん)している。あなたには関係のないところで、血が流れ、人が転落し、暴力がふるわれている。それをあなたはどうすることもできない。 あなたにできるのは、ただそれらに思いをはせるだけ。あなたにできるのは、祈ることだけ。あなたにできるのは、それらに思いをはせながら祈ることだけ。

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応募/Paty@直井よしたか
宮沢賢治『虹の絵具皿(十力の金剛石)』より

碧(あお)いそら、かがやく太陽、丘をかけて行く風、花のそのかんばしいはなびらや、しべ、草のしなやかなからだ、すべてこれをのせになう丘や野原、王子たちのびろうどの上着や涙にかがやく瞳、すべてすべて十力の金剛石(こんごうせき)でした。

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応募/平川綾真智
平川綾真智『ドはドナーのド(短歌連作)』より

おとうとの人間飴が溶けだすとシミの形は、ほら世界地図

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応募/harlequin moon
harlequin moon『ナモシラヌ』より

雑草という名前の草はない
地に根を張り 風に揺れる彼らには名前がある
無名の存在ではない
しかし彼らは雑草として刈られる
私も刈る
名前は記号で彼らのことを知らないから
もし彼らと知り合うことができたら
私は刈ることができなくなるのだろうか
名も知らぬ人であれば
標的として記号化された人であれば
銃の引き金を引いてしまうのだろうか
名前を持ち 個性を宿すことを知っているのに
繋がり合い理解し 知り合うことができるというのに

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応募/EtO
EtO『バスの中で』より

到来する、はての世界へ。 あの日をめざしていこう!いこう!足並みをそろえて。 でも僕たちは自由だから、思い思いに行くのさ! この道は狭いから、君が誰なのかふりかえる暇もなく行く、足並みをそろえて。 あのとき隣にいたよね って、いつか言える日が来たら、その時愛し合おう。 さようなら!

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応募/富樫徹也
富樫徹也『シネマのように』より

引っ越し先で荷物を片付けていると、いつの間にか夕方になった。 知らない町のコンビニで買ったお弁当を電子レンジに放り込んだ瞬間、急に不安に襲われる。 たまらず窓を開けると、5月の湿気を含んだ風と一緒に、遠くから小さくガタンゴトン……と電車の音が聞こえてきた。その音は、私を元気づけてくれる福音のようで、暗い部屋の中でひとり、遠ざかる電車の音に聞き耳を立てていた。

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応募/EtO
太宰治『斜陽』より

人はこの世の中に生まれて来た以上は、どうしても生き切らなければいけないものならば、この人たちのこの生き切るための姿も、憎むべきではないかも知れぬ。生きている事。生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。

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応募/かおる
萩原朔太郎『竹』より

光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛(せんもう)が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。

かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節(ふしぶし)りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。

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応募/トニージョンストン
トニージョンストン『再生』より

空は、瑠璃色(るりいろ)。この部屋、抜け出した。混じり気のない、柔らかく刺す、冷たさ。あかつきの香り、嗅いで、時計の針、動かして。進む、進む、ただそれだけのこと。進む、進む、ただそれだけのこと。今日は、未来。新しい世界へ、進む、進む、ただそれだけのこと。

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応募/松本真波
岡本かの子『快走』より

──ほんとうに溌剌(はつらつ)と活きている感じがする。女学校にいた頃はこれほど感じなかったのに。毎日窮屈(きゅうくつ)な仕事に圧(おさ)えつけられて暮していると、こんな駈足(かけあし)ぐらいでもこうまで活きている感じが珍らしく感じられるものか。いっそ毎日やったら──

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応募/涼音凛
涼音凛『アタシ、わるいこ』より

イト?
「あなたの名前よ。わたしたちとあなたを繋ぐ糸。家族を繋ぐ糸。愛しい子のイト」
アタシ、ここにいていいんだ……。やっと見つけた居場所。
「イト、散歩にいくぞ。よしよし。リードをつけるぞ。いいこだ」
「やっぱり、三人で散歩は楽しいわね。イトに友達ができるといいわね」
アタシの名前は「イト」
おとうさんとおかあさんの笑顔をみたい。
おとうさんとおかあさんを守りたい。
アタシは、みんなをつなぐ、強い糸になる。

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応募/鷹梨七志
正岡子規『恋』より

この、無垢清浄(むくせいじょう)、玉のようなお七を大悪人と呼ぶ馬鹿もあるであろう。けれどお七の心の中には賢(けん)もなく愚(ぐ)もなく善もなく悪もなく人間もなく世間もなく天地万象(てんちばんしょう)もなく、乃至(ないし)思慮(しりょ)も分別(ふんべつ)もなくなって居る。ある者はただ一人の、神のような恋人とそれに附随(ふずい)して居る火のような恋とばかりなのである。

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応募/東京朗読フェスティバル実行委員会
谷崎潤一郎『刺青』より

「親方、私はもう今迄(いままで)のような臆病な心を、さらりと捨てゝしまいました。―――お前さんは真先(まっさき)に私の肥料(こやし)になったんだねえ」
と、女は剣(つるぎ)のような瞳を輝かした。その耳には凱歌(がいか)の声がひゞいて居た。

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応募/渡辺吾郎
新美南吉『海から歸る日』より

 ――おゝい! 獲れた獲れた! 小い鰡(ぼら)が三四匹! けれど皆んなぴちぴちとはちきれそうに生きている、と。
 眞珠貝(しんじゅがい)を拾つて來たかの樣に双手をひろげて叫ばう。そして明日はまた海に行く船出の日だ。

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