サディスティック・カンチョー(フリー台本/4~5人用)

サディスティックな看護師のサッちゃんが、偉そうな入院患者「部長」にカンチョー……じゃなくて看護をするという声劇台本です。

長さは15分ほどです。

根っこは真面目な医療ドラマですが下ネタが出てきますので、この台本を利用する際はセクハラに発展しないようにくれぐれもご注意ください。

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サディスティック・カンチョー


[登場人物]
サッちゃん◇サディスティックな看護師
部長◇会社のえらい部長
モナ先輩◇サッちゃんの先輩・モナリザの微笑みを絶やさない看護師
先生◇消化器内科の医師
語り(本文青字)


[以下本文]
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1

部長「俺は会社で大きなプロジェクトを束ねている部長だぞ! 俺がいなきゃ会社が回っていかない! 入院はできない!」

先生「そう言われてもね、大腸から出血したままで帰すわけにいきませんからね」

 この男、大腸検査でポリープが見つかり、「早めに切除しましょう」と医者に勧められていたのだが、忙しさにかまけて後回しにしていたのだった。血便が出たことでしぶしぶ診察を受けに来た。部下にも心配されたから仕方なく、らしい。会社では部長の役職についているらしく威張っているが、病気は誰にでもやってくるのだから仕方がない。医者に説き伏せられ、大腸ポリープ切除の手術を受けることになったのである。
 手術は、内視鏡を肛門から入れて行う。まずは下剤を飲んで、それからカンチョーをして、腸の中をきれいにするのだ。

部長「俺は部長だ! やはり会社に戻らなくては!」

 この男、根っからの仕事人間なのか、それとも浣腸が嫌なのか、まだ喚いている。

サッちゃん「はーい、そこの台に横になってぇ。いい加減観念して、パンツ脱いでね。代わりにオムツ用意しとくねー」

部長「お、オムツ…」

サッちゃん「そう、トイレに走る間にお漏らししたら困るでしょ。さあ這いつくばるんだ! いくよー! おりゃー!」

 サッちゃんが部長の肛門にカンチョーをぶち込んだ。

部長「はう〜、俺は部長なんだ〜、早く戻らなくては~、会社の命運がかかっているんだ~!」

サッちゃん「ほんとうるさい奴だ! 肛門に部長も課長もねーんだよ!」

 サッちゃんがカンチョーを、さらに奥へとぶち込む。

サッちゃん「ほらほら、便意催したらさっさとトイレで出してこい。途中で漏らすんじゃねーぞ」

部長「お、俺は、ぶ、ぶちょ、ぶちょ、も! 漏れる〜」

 部長はオムツをたくし上げながら、トイレに一目散だ。

サッちゃん「部長さんよー、出たー?見せて」

部長「見せられるわけないだろう! 立場というものがある!」

サッちゃん「ははあん、恥ずかしいだな、しかーし、病気に立場は関係なーい!」

 サッちゃんは構わずドアを開けた。

サッちゃん「こっちだって見たくて見てるわけじゃねぇ。どれどれ? うわ、血の海じゃん」

部長「自覚症状は…ないのに…」

サッちゃん「大腸の粘膜には痛覚がないから痛くねぇーんだよ。部長だったらそれぐらい知ってろ」

先生「はい、サッちゃんご苦労様、出すもの出してもらったね、じゃあ、こっちで横になってもらって。内視鏡入れていくよー」

部長「俺は、ぶ、部長だぞ、肛門から入れるしか方法はないのか!」

先生「おなか切るよりマシでしょー。はーい、気持ち悪い感覚するけど我慢してねー」

部長「はううん…」

サッちゃん「ほーら、モニターで自分の腸内見てみ、ポリープから血ぃ出てるよ」

部長「うわわ、血ぃ苦手なんだ」

サッちゃん「これからが面白いんだから目をそらさない! ほーら、先生が電気メスで患部切り取るよ」

部長「聞きたくない!」

サッちゃん「おーっと、メスがポリープを掴んで~、切り取るよ~!」

部長「聞きたくない、やめてくれ!」

サッちゃん「あ、先生ちょっとやばくない!? どばぁーって血ぃ出てるよ」

先生「そうだねー、緊急処置にうつるねー」

部長「き、緊急処置!?」

先生「あれれ、ふんふん、こんなんなっちゃうパターンか」

部長「ど、どんなパターンなんだ! モニター見せてくれ!」

サッちゃん「ダメ、見たくないんだろ」

部長「見えない、見えない」

先生「サッちゃん、患者さんの顔にオムツを被せるのはやめてあげなさい」

サッちゃん「でも、血ぃ見たらうるさいだろうし」

部長「血ぃそんなに出てるのか! 藪医者め!」

先生「手術に出血はつきものですからねー、止血すれば済みますからねー」


2

 多少の出血はあったが、なんとか無事に手術が終わった。
 術後の経過観察のために数日入院することになった部長。会社のことが心配でベッドの上からひっきりなしにスマホで電話をしていた。

サッちゃん「4人部屋なんだ、電話は談話コーナーでしろ!」

部長「ここしか電波が入らないんだ」

サッちゃん「ルールを守れ!」

部長「だったら個室に変えてくれ」

サッちゃん「あいにく、個室は空いてないんでね」

部長「まいったな、大事なプロジェクトなんだ! 例外にしてくれ!」

サッちゃん「ダメだって言ってんだろうが!」

 サッちゃんは問答無用でスマホを取り上げた。

部長「メールにするから、返してくれ!」

サッちゃん「部長さん、安静にしてないとまたお尻から血が出るよ! そういえば先生がメールもだめって言ってたんでね! スマホは預かっとく!」

部長「そんな! 我が社の命運が私にかかっているのに!」

 サッちゃんがスマホをもてあそびながら病室を出たところに、モナリザ先輩が微笑を称えながら話しかけた。

モナ先輩「サッちゃん、メールはいいんじゃないかしら」

サッちゃん「先輩、聞いてたんですか?」

モナ先輩「先生がダメと言ったとかデタラメは、問題になっちゃうかもしれないわよ」

サッちゃん「いいんです、今月いっぱいで辞めるんですし」

モナ先輩「サッちゃん、本当に辞めちゃうの?」

サッちゃん「結局看護、向いてなかったんです」

モナ先輩「そんなことないと思うわ、サッちゃんみたいに覚えのいい後輩は今までいなかったわ」

サッちゃん「でも、患者さんからは評判良くないですし」

モナ先輩「いじめてるみたいに誤解される時もあるわ」

サッちゃん「へへ、本当に意地悪してる時もありますけどね」

モナ先輩「サッちゃん…私も…ないことはないのよ」

サッちゃん「え!モナ先輩も!?」

モナ先輩「お手本をみせてあげるわ、そこにいて」

部長「ああ、看護師が変わったのか。よかった、あのサッちゃんとかいうのは乱暴で困る。医者も藪だし、こっちが払う金額に見合う仕事してもらわないとな」

モナ先輩「うふふ、点滴の針を右腕に変えるわよ、いいかしら」

部長「え、また針を刺すのか?」

モナ先輩「同じところに刺したままだと、痛みが出ることがあるのよ」

部長「うん、いいだろう、やってくれたまえ。ん?もう終わったのか?あなたのは痛くないな。サッちゃんとかいう看護師とは大違いだ。ありがとう」

モナ先輩「どう? サッちゃん。ちゃんと見ていた?」

サッちゃん「見てました! うるさい患者さんを簡単に手なずけちゃうんですね!」

モナ先輩「不安を抱えている患者さんに寄り添ってあげるのが看護よ」

サッちゃん「先輩みたいに優しくなれたら!でも、どうして針を右腕に変えたんですか? あの人、右利きだからそれだと不便じゃないですか?」

モナ先輩「点滴の管がぶら下がってたら、ご飯を食べるのも、歯を磨くのも不便よね、うふふ」

サッちゃん「え!もしかして、さりげない嫌がらせですか!?」

モナ先輩「うふふ、ときどき発散は必要よ」

サッちゃん「モナ先輩!」


3

 大腸ポリープの内視鏡手術を受けて、術後に出血する確率は100人に1人である。
 部長はその1人に当たってしまう不運な男だった。

部長「ト、トイレに行ったら、血がドバーッと出たぞ! これはどういうことだ!」

先生「ときどき、そういうことありますね」

部長「ありますね、じゃない! どうしてくれるんだこの藪医者!」

先生「止血術をするので、入院延長ですね」

部長「延長だって!? 明日には出社するつもりだ!」

先生「開腹手術しますので、最低でも1週間は入院になります」

部長「1週間!? 会社は私が居ないと困るんだ!」

先生「腸内をきれいにして、内視鏡で手術ができれば、入院期間は短くなりますが」

部長「な、内視鏡で頼む!」

先生「じゃあ、サッちゃん、スーパーカンチョーお願いね」

サッちゃん「任せてください先生」

部長「スーパーって…やっぱりやめる!」

先生「だって、早く退院したいんでしょう?」

サッちゃん「はーい、観念してね、パンツ脱いでね~」

部長「わ、わ、そんな、いきなり」

サッちゃん「早速いっちゃうよ~」

部長「はう!」

サッちゃん「もう一丁!」

部長「はう~!」

サッちゃん「うーん、スーパー!」

部長「あああああ!!」

サッちゃん「トイレ行ってこーい」

部長「おわ! 出る~、出る~」

先生「サッちゃんありがとう、これで内視鏡手術ができそうだね」

部長「スーパー…出た」

先生「サッちゃんはこの病院イチのカンチョー名人です。あなたはラッキーですよ。はい、じゃあ次は、内視鏡いくよ~」

部長「わ、私は部長だ~、何度突っ込まれなきゃいけないんだ~」


4

 止血術は無事に終わった。
 部長は安らぎの表情を浮かべ、ベッドで横なっている。
 開腹手術はまぬがれたが、二日間入院が延長となり、サッちゃんとモナリザ先輩に点滴、検温、血圧測定、酸素飽和度測定、食事はお粥から段々と普通食へと、手厚い看護を受けて過ごした。

サッちゃん「部長さん、大人しいね、観念したんだ」

部長「納品が済んだと連絡があった。うちの会社はどうなったのか…」

 部長は、天井を見つめていた目をつぶった。

サッちゃん「他の人がうまくやってくれたよ。代役はいくらでもいるんだ」

部長「いや、あなたのカンチョーの腕前は素晴らしかった」

サッちゃん「え?」

部長「ありがとう。腸を洗浄してもらったついでに、心も洗われたようだ。今は安らかな心持ちだよ」

サッちゃん「え、そんな…お礼を言われるほどの…あたし、カンチョーはしょっちゅうやってるし…どっちかっていったら嫌いじゃないし…」

モナ先輩「サッちゃん」

 ドアのそばからそっと見守るモナリザ先輩であった。

 部長は2日後、無事に退院ができることとなった。
 部下が大勢迎えに来ていた。

部下1「部長、無事に納品できました! クライアントからもOKもらえました!」

部長「そうか!君たちだけでやり遂げたのか!」

部下2「日頃のご指導のおかげです!」

部下3「部長だったらどうするか話して、みんなで頑張りました」

部下1「部長、やりました!」

部下2「部長!」

部長「よくやってくれた。これからは君たちを信じて任せることにしよう」

部下3「部長も顔色が良くて、本当によかったです」

部下1「明日から戻れそうですか!?」

部長「フル稼働はできないが、様子を見にいくよ」

部下2「わー、部長が出社できるって!」

部下3「退院おめでとうございます!」

(部下たちの歓声が上がる)

サッちゃん「部長さん、会社では慕われているみたいですね」

モナ先輩「病院では面倒な患者さんだったのにね」

サッちゃん「患者さんが元気になった姿を見ると…看護って悪くないですね」

モナ先輩「そうでしょう」

先生「そうだとも、優秀な看護師がいて医療は成り立つ」

サッちゃん「看護師を辞めるの、やめようかな…」

モナ先輩「サッちゃん、辞めるの辞めて」

先生「続けちゃいなよ」

サッちゃん「カンチョー…じゃなくて、看護、もう少し続けても…いいですか!?」

モナ先輩「やったぁ!」

先生「うんうん」

モナ先輩「でも、意地悪はダメよ」

サッちゃん「モナ先輩だって~」

モナ先輩「あはははは」

サッちゃん「あはははは」

 部長とその部下たちが頭を下げ、去っていく。
 ほほえみながらそれに手を振る、サッちゃんとモナリザ先輩であった。

 皆様、「健康」を大事にしましょう。体調に不安を感じたら早めに病院へ行きましょうね。もしカンチョーをしなければならなくなっても、恥ずかしがることはありません。サッちゃんがスーパーな看護をしてくれますよ。

サッちゃん「肛門に部長も課長もねーんだ! いくよー!」


(おしまい)

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(2022年4月27日更新)

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