2022年8月27日に本選が行われた「第一回U35京都朗読コンテスト」において、飯干大嵩さんが最優秀賞を受賞しました。
飯干さんは《朗読らいおん》の発足当初から二年に渡って一緒に朗読の企画を作ってきた方です。
気心知れた《朗読らいおん》だからこそ訊ける『コンテストへの思い』や『受賞の裏話』をインタビューしました。
[このインタビューは2022年9月21日にZoomで行われました]
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○第一回U35京都朗読コンテスト最優秀賞
飯干大嵩(イイボシマサタカ)
中学生の頃に朗読に出会い、16年修行を積んできた。京都朗読コンテスト受賞時は29歳。過去に青空文庫朗読コンテストで銀賞を受賞したこともある。朗読イベントへの出演多数。自身が企画する朗読会も毎年継続して開いている。《朗読らいおん》では演出を担当している。
○聞き手
柳原路耀(ヤナギハラロック)
《朗読らいおん》の主宰。朗読イベントのプロデュース、朗読劇の脚本を担当している。2020年から2022年(インタビュー時)まで、飯干さんと一緒に20以上の朗読イベントを企画している。
伊藤朱美(イトウアケミ)
社会人劇団で演劇の活動をしながら、朗読にも積極的に取り組んでいる。《朗読らいおん》の発足当初から朗読劇などに参加している。飯干さんの活動を近くで見ていた存在。
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柳原「改めて、受賞おめでとうございます」
伊藤「おめでとうございます」
飯干「ありがとうございます」
柳原「私は会場で実際に飯干さんの朗読を聴いたわけですが、映像で見た伊藤さんはどうでしたか?」
伊藤「素敵な朗読でした」
柳原「素晴らしい技術でしたよね」
伊藤「すごかったです」
飯干「あの場に立って何をやったか覚えてないんですよ。練習してるときに調子のいいときと悪いときがあって、先生にも見てもらったので――」
柳原「先生? 飯干さんは朗読教室に通っているのですか?」
飯干「教室に通っているわけではないのですが、以前にも教えて頂いたことがある先生にお願いして、2回ほど自分の朗読を見て頂きました。これはあとで動画とかを見て思ったのですが、朗読をやる上で『言葉に向き合って固めることの大事さ』みたいのはすごい感じました。ホントにあのときのことを覚えてないんですよ。今までは『気持ちの朗読』でやってきていたのですが、本番でいろいろな思いが入り乱れてガチガチに緊張してしまって、ダメな朗読をやってしまったと思い込んでいたんです。『あ、俺、終わった』と思って『悔しい・・・ダメだ・・・』みたいになってたんです。それで、最優秀賞でなくても、どこかに引っかかってたらいいなと思ってたんです。だから名前を呼ばれたときは驚きました。『ガチで俺でいいんか?』と思いました」
柳原「そうなんですね! 飯干さんの朗読はもともと綺麗な朗読だと思っていましたが、先生のご指導を受けたからか、さらに整っているように感じました」
飯干「整えることの大事さは今回一番学びました。独りで練習してるときは実にいろいろなことを考えながらやっていました。僕がよく言われていたのは、『朗読は、緊張とか練習不足とかが如実に出るものだ』ということ。朗読ってナマモノだし、それはその通りだと思うんですけど、ある意味そうじゃない向き合い方みたいなのもあるんだなと、自分がどうあろうと、目の前の言葉を信じて命を吹き込むことを忠実にやっていくことの大事さ。それがいわゆる『静かな朗読』というだけではなくて、『表現の朗読』においてもそういうことが大事なんだと学びました。わかりますかね」
柳原「半分わかる。あはは。伊藤さんわかりました?」
伊藤「半分わかる。うふふ」
柳原「さっき言ってた『気持ちの朗読』というのはそれとは対比になるわけですよね?」
飯干「朗読ってもっと可変的というか、そのときそのときの『感じ』でやっていくものだっていうのが自分の中ではあって。それって逆で、練習で固めたものを出すことじゃなくて、その場にいるお客さんとか、これはわがままな話なんですけど、そのときの自分のコンディションみたいな部分で、それに敢えて嘘をつかないで、そのときに出る語気とか、もちろん作品に書いてあることから逸脱しない範囲でってことですけど、その中で変えていくもの。ジャズみたいだと勝手に思ったりしてるんですけど。そういうナマモノ感が大事だと思ってきてて、それはもちろん大事なんですけど、そればかりに頼るのはよくなかったかなっていう。つまり、自分がやりたいと思っていることは格好つけた論理だけじゃなくって、実直に練習して、言葉のここに重きを置くみたいなのを緻密にやることによっても可能なんだというのを学んだことが大きかったです」
伊藤「すごく面白いですね。演劇で役作りをするときって、最初に台本を読み込んで解釈していってそこから逸脱しないで台本に忠実にやろうとしていくんだけれども、毎回毎回稽古の度にもそうだし、本番中もずっと、いつもその感情になるとは限らなくて、やっぱりお客さんの空気感で変わってくる。自分の感情の流れ一つで、『ここってこういう解釈もあったんだ』みたいな、考えたこともなかった感情が出てきたりっていうナマモノ感。それなんだろうなって思うんですけど。ジャズみたいなっていう表現も面白いなと思って。そのナマモノ感っていうのを今までは重視していたということですか?」
飯干「それが、俺が他の朗読者と違うところだぞとぐらいで思っていた節もありました」
伊藤「演劇ってアドリブを入れたり自由度が高い物ですけど、文学作品の朗読ってそれよりは自由度がないような気がするんですよね。それをライブ感でジャズのようにやっていくって、すごく面白いなと思って」
飯干「さっきと逆のことを言いますけど、朗読でも十分可能だと思います。朗読って、言葉は変わらなくても、言葉一個一個に含まれている視点の距離とかそういうものが文学は豊かだから、その振り幅を表現するのってそのときそのときで可変的にやることって可能だと思うんですよね。言葉の持つ力をどの振り幅でやるかっていうところの自由度はあると思ってて、書いてる作者本人からしても、きっとこれを書くことで、言葉にならないものを表現したいってあるはずなんですよね。それと、言葉を固めていくことのバランスですかね・・・」
柳原「『ジャズ感』と『整える』が高次元で両立されたから受賞に至ったのかなと私は思ったのですけど、飯干さんは広い会場で朗読するのはたくさん経験がありますし、得意なのかなって感じるんですが、一次選考の『録音』からクリアしないと本選に行けないわけじゃないですか。録音は普段から苦手って言ってますけど」
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※飯干さんは東京を中心に活動していて、朗読イベントへの出演経験が豊富。毎年3月11日には、鎮魂をテーマにした自身の朗読会『reading311』を開いている。
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飯干「録音は苦手ですね」
柳原「一次で落ちちゃったらどうしようと思いながら応募しました?」
飯干「しました、しました。録音が苦手だってのもありますし、コロナが流行り始めてから配信で朗読を始める人が増えたじゃないですか。その中には上手な人がたくさんいて、配信という媒体とか文化の中で腕を上げた人がたくさん応募して来るんだろうなと思って、そういう中で勝てる自信がなかったんですよね。どっちかと言うと配信朗読に追いつけていない方だと僕は思うので。募集要項のところに審査基準がはっきりと書いてあって――」
【審査の基準】
このコンテストでは、読み手の解釈がしっかりと表現されているような生き生きとした朗読を求めています。
①発声の基礎
声に力があるかどうか。マイクに対しても小さな声ではなく、芯のある声で表現してください。②文章の理解
文章の構造(主語、述語、修飾語など)を理解した上で、全体のつながりを意識して一つの作品にまとめてください。③言葉のリズムと強弱
リズミカルな話し言葉をイメージした読みを心がけてください。④アクセントの正確さ
コンテストの募集要項から引用
以上、大きく4点の基礎レベルを確認し、その上で表現としての達成度を評価基準にします。
※「U35第一回京都朗読コンテスト」は35歳未満の方が応募できる朗読コンテスト。一次予選は課題テキストの録音を提出する形で行われ、二次予選と本選は京都で行われた。応募は全国から可能。
コンテストを主催している《朗読表現研究会》さんのサイトはこちらです↓↓↓
https://www.rlabo.jp/
U35第一回京都朗読コンテストのページ↓↓↓
https://www.rlabo.jp/krc/
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飯干「その審査基準の中に『生き生きとした朗読』ということが書いてあって、自分ができるかぎりでそれを出すしかないなあと。二次予選の作品は村上春樹の『偶然の旅人』を読みました。それと本選の宮沢賢治『烏の北斗七星』は割と気持ちで選んだ部分があるんですけど、一次予選は《自分ができるもの》で選びました。
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一次予選の課題テキストは、審査員であり小説家の池田久輝氏の作品
どれも朗読時間5分ほどの長さ
○は柳原による”あらすじと感想”
テキスト1『南の森に消える』
○舞台は森。ゆったりとした川に顔を映すと、別人が見える。導入は物語を俯瞰した視点で書かれているが、青年と老人という二人の登場人物に段々と近づいていくような感覚がある。謎めいていて、惹き込まれる物語。
テキスト2『僕の宇宙の旅』
○宇宙、光、轟音。SFを感じさせるボーイ・ミーツ・ガールな物語。朗読らいおんで関連イベントを開催したとき人気が高かった作品。主人公『僕』の視点で語られるため、物語に寄り添いやすいとの意見も。
テキスト3『向こう岸の伝説』
○川を眺めている『私』に、船頭が声を掛けてくる。黄金の伝説に興味があるなら「俺を雇ってくれよ」というのだ。船頭の年齢・キャラクターをどう考えるかによって朗読が変わる、と朗読らいおん界隈で話題になった作品。
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柳原「3作品ある中でどれを選んだんですか?」
飯干「『南の森に消える』です。『僕の宇宙の旅』はもっともっと得意な人がいるだろう、これで勝負するのは賭けだなぁ、『向こう岸の伝説』は解釈が難しいなぁ、自分の中で消化しきれないなぁ、語り手がどんな人か自分じゃ掴みにくいなぁ、消去法で、青年と老人の会話の部分がある『南の森に消える』が割かし得意だなと思って選びました。その上で音楽スタジオを予約して、3~4時間かけて何回も何回も読み直し、録り直しして、宅録でもいいって募集要項に書いてあったんですけど、音質がまったく評価に関係ないとは限らないと思ったので、ちゃんとしたのを録ろうと思って・・・それぐらい自分の場合は神経を使いました」
柳原「へぇー! 念には念を入れて、出せる力を全部出したって感じなんですね」
飯干「そうですね、ちょっとでも心配だなと思うことは潰して、録音したものから一番いいと思うものを書き出して、これも間違いないよなと神経を使って応募しました」
柳原「それだけ慎重にやったんですね」
飯干「他に応募された方から音源を聴かせてもらえる機会があって、それを聴いたときに、これはすごい、これには敵わないと思ったんです。だから一次予選を自分が上がれたというのが信じられなかったんです」
※応募総数246名の中から一次予選を通過したのは27名。
飯干「とりあえずよかったぁと。どういう朗読が良しとされるのか本当に読めなかったからそのとき出せるものを出すしかなかったという感じでした」
柳原「そうなんですね。では二次選考に進めて、京都のアールラボに行けることになったわけですが、感想としてどうでしたか?」
※rLabo.(アールラボ)はコンテストを主催している《朗読表現研究会》が運営している朗読専用の劇場。2020年、京都市中京区にオープン。
飯干「楽しかったです!」
柳原「楽しかった・・・?」
飯干「二次予選が一番楽しかった。主催の佐野さんと池田さんの前で、村上春樹の『偶然の旅人』を読んで、その後にその朗読に対して『ここもうちょっとこうなんじゃない?』とか『なんでこの抜粋選んだの?』とかを話したんですけど、普通だったら緊張するのかもしれないんですけど、俺それがすっごい楽しかったんですよ。表現についていろいろお話をして頂いて、『確かにちょっと間は取り過ぎましたね』とか『語尾がちょっと息が掛かりがちだよね』みたいなことだったり、そこからちょっと派生して『活き活きとした朗読とは』とか『落語とかこうじゃないですか?』みたいな話になって、純粋にそういう話をするのが楽しかったんですよ」
柳原「へぇー」
飯干「だから、構えすぎて損したぐらいの感じでした」
柳原「ほー」
飯干「二次予選が一番楽しかったんですが、それはそれとして、結果はめちゃくちゃドキドキしたんですけど」
柳原「ふんふん」
飯干「楽しかったな、いい会話もしたなっていうので落ちたらショックじゃないですか」
柳原「面接の感触がめっちゃいいのに、その会社落ちたみたいな」
飯干「そう!就職面接でよくあるやつですよ! 感触がよかったのに『お祈りメール』が届いて気持ちの落ち込みが倍増するやつ」
伊藤「うふふ!」
飯干「覚悟しながら二次予選の結果発表を待っていたので、来たとき『めっちゃよかったー!!』みたいな感じになりました」
柳原「そりゃ嬉しいですよね」
飯干「嬉しかったです。『本選出ます、楽しみです』ってTwitterにも書いて、たくさんの人に『いいね』をもらって」
柳原「すごい反響でしたね」
飯干「一次二次の話をさせてもらってそのときの取り組んだ感触とかをありありと思い出すことができたのですけど、本選がガチガチになりすぎちゃってたので・・・・・・複雑です。たぶん自分は本選の出場者の中では年が上の方で、朗読の年数も無駄に長い方なのかなと思ったのですけど、たぶん自分より若い、取り組み方が新鮮な出場者とのギャップを感じて、今自分がブチ当たっている壁みたいなものを本選の練習をしていてすごい感じていたし、そういうのを勝手に比較して、『ちゃんと出し切るぞ、楽しむぞ』っていうような感じの心持ちで臨まれていた他の出場者に、気持ちの面で負けてたのかななんて自分では思ってるんですけど、それが彼ら彼女らの道であり、これは自分で選び取った道だから仕方がないって言えば仕方がないんですけど、いろいろ思いますね、自分が最優秀賞を取ったってことに対して。認めてくださったことはすごく嬉しいというのと、一方でまだまだ自分の伸びしろとかを自分で開拓していかなきゃいけないとか、有り難いとは思いこそすれ、『やっためっちゃ嬉しい!』とはならないんですよね。この気持ちは時間が経ったら変わるかと思ったんですけど、受賞から三週間経っても変わらないです」
柳原「学んだことやそこで得た刺激の方が大きかったってことですかね」
飯干「そうだと思います。自分は独りの世界だけで突っ走ってきた朗読者だと思うので、いろんな朗読の在り方とか、気持ちの持ち方とか、それを学べたことに意味があるんだろうなと思います。あとは、作品に救われたっていうところがあると思います」
柳原「そうなんですね、あの『烏の北斗七星』は、本選に行けるとなってからはすぐに決めたんですか?」
※二次予選を通過したのは10名。
飯干「えーっと、二次予選のときからそうなんですけど、主催の朗読表現研究会さんと密に連絡を取って、『作品は何にしますか?』とか『いつまでに決めてください』とか、一緒に朗読会を作っていこうという側面もあるコンテストだとは聞かされていて、自分の本気の朗読ができる作品はなんだろうと結構幅広く悩んだんです」
柳原「そうなんですねぇ」
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飯干「一番極端なので言うと、樋口一葉の『にごりえ』を読んだらどうだろうと」
柳原「あはは! それは、伊藤さんどうなんですか?」
伊藤「うふ! それは聴いてみたいですね」
飯干「ほんとにいろいろ悩んで、原民喜にしようかとか、泉鏡花にしようかとか・・・そういう中で宮沢賢治の『烏の北斗七星』を選んだのは二つ理由があって、一つは・・・わかりますか?」
柳原「直井よしたかさんが読んでたから?」
飯干「そう!」
伊藤「ふふふ!」
※2020年10月、日本各地の朗読家9名がオンラインで集まり、「朗読らいおん青空文庫フェスティバル」が開催された。各出演者は「これぞ!」と思う得意の作品を持ち寄り披露した。そのとき、出演者の一人である直井よしたかさんが朗読した作品が『烏の北斗七星』だった。飯干さんはこのイベントの演出を担当していた。
飯干「直井さんがTwitterで青空文庫フェスに出ます、本気の朗読をします、と書かれていて、どんな朗読だろうと思いながらいざ拝見すると、その本気というのが静かに燃やす感じというか、『言葉と朗読』に向き合うという方向に持っていかれたということに感動していたわけです」
柳原「直井さんは演劇の人だから、『本気』と言ったら動き回りそうな感じなのにね」
飯干「そうそう!その直井さんの朗読への向き合い方に感動したんです」
柳原「話がちょっと逸れますが、飯干さんにとってライバルって誰ですか?」
飯干「いっぱいいます・・・。俺、心の中にライバルをいっぱい作っちゃうので、直井さんもそうですし、自分が総合演出として携わっている東京朗読リレーを見ていても感じますし」
※「東京朗読リレー」は、月1回のペースでスタジオから朗読のライブ配信をしている、朗読らいおん主催のオンラインイベント。毎回、東京の朗読家が朗読の『新しさ』に挑戦している。飯干さんはこのイベントで総合演出を担当している。
飯干「『烏の北斗七星』を選んだ二つ目の理由としては、作品に浪漫が詰まってたから」
柳原「ほう!」
飯干「あれって、烏に仮託した戦争の話ではあるんですけど、誤解を恐れずに言えば単なる反戦じゃないなっていうのもあって、祈りとか愛とか戦いに殉じるみたいなところもなくはないなっていう矛盾したものがいっぱい詰まっている作品で、自分が伝えたいと思った部分でもあるんですけど、本選のために作品を選んでいて最終的に選んだところが規定の10分ぐらいの尺にピタッとハマっていて、その部分を見つけたときにほとんど他の作品は考えられなくなりました」
柳原「なるほど、その部分が自分のコンテストの結果を託せる作品だと感じたんですね」
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飯干「そうです。途中に二人だけの台詞のやりとりがあったりとか、地の文も雰囲気が変わる部分があったりだとかテクニック的なものも見せられる打算ももちろんあって、でもそんな中で『いいシーンだ』っていうところに『ああもうこれだな!』って感じました」
柳原「決めるときは、いつも直感ですか?」
飯干「過程は時間がかかる方ですが、決まるときは割とバチッと来ます」
柳原「作曲などもときどきされていますが、朗読以外にやっていることは他にあるんですか?」
飯干「朗読以外あんまり何もやっていないのですけど、純粋に楽しむためだけの読書をしたいというのは感じています。朗読以外で強いてやっていると言えば、日々の生活のための労働です。今日も一日労働の『ワクチン会場の設営』に行ってきたんですけど、ああいう場所では本当に自分は使い物ならないんだと思います」
柳原「朗読では最優秀賞でしたが、ワクチン会場設営では落選しました?」
飯干「ガテン系の仕事では最下位ですよ。朗読と現実世界のギャップを感じてて、つらいですね、あはは」
柳原「普段は公共施設で働いているんですよね。それ以外のバイトも入れてるってことなんですね」
飯干「そうなんです、それだけでは収入が足りないってことがあって」
柳原「朗読で稼げたらいいのにねぇ。受賞してオファーが増えたりしましたか?」
飯干「オファーは、この波ですよね、すごい頂いてはいまして、朗読ってことに対して求められる敷居がちょっと上がったかなって感じています。お話しを伺うと、朗読をやってとか、朗読ってどういうことですかね、みたいなことだったりが増えてきた感じがするんですよね。そこで考える機会がすごい増えてきて」
柳原「どういうこと? 伊藤さんわかりますか?」
伊藤「どういうこと? うふふ!」
飯干「あれ、どこで伝わりにくくなってるのかな!?」
伊藤「オファーとかされる内容がってことですか?」
飯干「そうですね!」
柳原「朗読家として責任を背負って朗読を見せにいかなきゃいけないってことですか?」
飯干「なんかそれに近いです!」
柳原「受賞をきっかけに得たことがたくさんあるようですが、今後どういう風に発展させていきたいという気持ちは、何かありますか?」
飯干「やっぱり生朗読の楽しさを伝えていきたいというのがありますね。今回のコンテストを経験したこともあってそれを改めて思いました」
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コンテストの本選は2022年8月27日に行われ、インタビューはそれから約3週間後の9月21日にZoomで行われました。
文字起こしと編集は、柳原路耀が担当しました。
※来年(2023年)には第二回目のコンテストが開催される予定があるとのこと。応募方法や選考の流れが変更になる可能性もあると思いますので、募集要項が発表されたら要チェックですね!
コンテストを主催している《朗読表現研究会》さんのサイトはこちらです↓↓↓
https://www.rlabo.jp/
U35第一回京都朗読コンテストのページ↓↓↓
https://www.rlabo.jp/krc/