出演者に支払う『交通費』は、税務申告が必要な報酬に当たる!?

イベント出演料と交通費の関係

「お車代という名目で舞台役者さんやアーティストに少額のお礼を渡す場合、それは税務申告が必要な報酬に当たる!?」

ある日、そんな疑問がX(旧Twitter)に流れてきました。

私自身も興味ありましたし、「知りたい方はいいね押してください。調べてきます」とX上で呼び掛けてみたところ、思いがけない反応で、たくさんのいいねを頂きました。

と、いうことで朗読らいおんの柳原路耀が「イベント出演料」や「源泉徴収」について税理士さんに尋ねてきました。

少額でも報酬は報酬

まず基本的なことですが、金額が大きいか小さいかに関わらず、イベント出演者にギャラを支払う場合は、それは報酬ということになるそうです。

少額の場合に「謝礼金」や「お車代」などと表現したりしますが、その場合でも税法上は報酬を支払ったということになります。

会社の従業員に働いたぶんのお金を支払うとき、それを「給料」と呼びます。

雇用契約をしていない個人や会社に対して支払う場合が「報酬」です。

またイベントに出演した演者に「報酬」を支払う場合には源泉徴収が必要ということも大事なポイントです。

交通費より報酬の方が少ない場合は?

出演者がイベント会場に行くために使った交通費より報酬の方が少ない場合もあると思います。

例えば、
イベント会場への電車賃とバス代:3,630円
交通費という名目で出演者に渡すお金:3,000円

こんな場合です。

これは税理士さんがグレーゾーンと言っておられました。
主催者が出演者の電車賃とバス代をきちんと把握していて、その上で3,000円は交通費として渡すことを出演者に明確に告げて、あとあとまでわかるように記録を残しておけば問題ないであろうと思われると。

しかし、交通費が3,630円なのにそれより少ない額を渡すのが忍びないからといって4,000円を渡してしまうと報酬とみなされるとのことです。

また、例えば出演者がAさん、Bさん、Cさんと3人いて、
Aさんの交通費 5,600円
Bさんの交通費 5,800円
Cさんの交通費 4,400円

だったとします。

この3人に対してそれぞれ3,000円ずつ交通費を渡すとします。
3人とも実際にかかった交通費の額が違うのでなんだか不公平な感じもしますし、交通費の額に関係なく3,000円を渡すわけですから、報酬とみなされる可能性もあると税理士さんが仰っていました。

だったら、交通費と同額をぴったり渡す場合は?

交通費と同額をぴったり渡す場合は、それは税務署から見ても交通費ということに見えるだろうし、源泉徴収も必要ないと税理士さんはお話ししていました。

例えば出演者から「電車賃とバス代で3,630円を使った」と報告してもらう。それを記録に残し、同額をお渡しすれば、それは立て替えてもらっていた交通費を清算したことになるとのこと。

しかし、出演者に対して交通費を申告してもらえるような雰囲気ばかりとは限りませんし、謝礼金として3,000円、5,000円などキリのいい金額を渡したいと思う主催者さんは多いと思います。

「出演料」と「交通費」の関係はなかなか難しいですね。

以上、『イベント出演料と交通費の関係』について柳原路耀が税理士さんに尋ねてきました。

これは税理士さんが最後に付け加えていたことです。
「あくまで法律の解釈や、これまでの経験から話しているのであって、個別の事情によってグレーゾーンは変わるので、一番いいのは税務署に指摘をされないような隙のない経理を心掛けること」

税務のことは本当に複雑で「これなら問題ない」と明言はできないですが、少しでも参考にして頂けたなら幸いです。

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