一次・二次審査総評(第1回ふしぎの森の朗読コンテスト)

  • 2025年8月14日
  • 2025年8月16日
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第1回ふしぎの森の朗読コンテスト

コンテスト概要および一次・二次審査合格者掲載ページ

一次・二次予選課題テキスト掲載ページ

三次審査結果発表:2025年10月上旬(予定)

本選:2025年11月1日(土)夜 YouTubeにて配信

一次・二次審査総評

6月30日の募集締め切りから4名の予選審査員による個別の審査を行い、8月に入ってからは意見交換を行う機会を設け、厳正なる審査を行いました。

応募音源に対して予選審査員全員の評価が一致する場面が多いなか、稀に評価が分かれるものもあり、白熱した議論の末に一次・二次審査合格者が決定しました。

予選審査員は、朗読らいおん主宰の柳原路耀と朗読イベントに出演経験が豊富な朗読家によって構成されています。

本コンテストの告知に記載していた通り、審査の基準は「この人の朗読でオーディオブックを聴きたい!」というものです。
また、朗読らいおんは「朗読家が主役であり、朗読家の個性が主役」と考えてオーディオブックを製作しています。
オーディオブック製作権が最優秀賞の副賞になっていることが本コンテストの特徴ではありますが、オーディオブックとしての聴きやすさだけでなく、朗読者の個性が表現されていることが予選審査の基準となっています。

ご応募いただいた音源のなかには「オーディオブック的な朗読」を意識して、抑揚を抑え、たんたんと読まれているものがあり、審査員からは「とても実力があるのに勿体ない!」と声が上がることがありました。
1回目の開催ですのでどういう朗読が求められているのか判断がつかなかった応募者の方もいらっしゃると思います。
まずは、「実力があるのに勿体ない!」そんな応募音源があったことを書いておきたいと思います。

その他に意見交換の場で出た言葉を並べると、

・この人の朗読でもう一作品聴いてみたいと思わせる
・聴いていて純粋に楽しい
・心に迫る表現
・読み方の速度やテンポがいい
・前半は表現豊か、後半になるにつれて演出過剰に思える
・あまりにオーバーな表現
・間を取り過ぎて、文の意味が変わってくる
・感情を抑えすぎている
・滑舌が気になる
・読み手と作品が合っていない

つまり、そういったことが審査の基準になっていたと言えます。
本コンテストでは「アクセントの正確性に囚われすぎない」ことを掲げているため、アクセントについて語られる場面はあまりありませんでした。
録音音質が問題になることがなかったことも付け加えておきたいと思います。

特に熱く語られた意見としては、「何度も読み間違いをしていて、さすがに集中できない」や、「滑舌が悪いところがあるけれど、同じ言葉でよく読めているところもあるのだから、大きな減点と思わない」や、課題『指』で「地の文を主人公のキャラクターと同じ読み方をしているものがあり、この作品は地の文が主人公の独白だとしても、キャラクターからもう少し距離を取った表現にすべきではないか」というものがありました。

惜しくも三次審査に進めなかった方の『愛よ愛』で、主人公とその夫の台詞をとてもうまく読み分けているものがあり、読み分けのうまさが話題に上ることもしばしばでした。

課題のなかでは特に『うた時計』は少年、おじさん、おじさんのお父さんをどう読み分けるかが大事になってくる作品でした。
『うた時計』を選んで二次審査合格となった方は、その点が抜きんでていた印象があります。

『蜘蛛の糸』は朗読コンテストで定番のテキストであり、個性と聴きやすさをどう表現するか、ある意味難しい面があると言えるかもしれません。

『指』は課題の中では比較的に朗読時間が短いですが、雰囲気を表現することはなかなか難しい作品と言えます。審査員から「この作品の場合は、落ち着いた読み方に余計に引き込まれる」という意見がありました。

課題『愛よ愛』は、作者・岡本かの子の気持ちを汲み取って読まなければいけない作品で、選択される方が少ないと予想していましたが意外に多く、それぞれの方によって文章解釈が違う点が印象的でした。

『黄金風景』は、感情を表現することが難しい作品かもしれません。この作品を選んだ方は少なく、しかし見事に表現されていた方がいて、二次審査合格となっています。

一次審査合格となった音源は、聴き手に伝える力が十分にあると評価された音源です。
二次審査合格となった音源はそれに加え、以下の4つが優れていました。

感情
個性
聴きやすさ
文章解釈

ここまでは録音での予選ですので、読み直し、編集を行うことができます。
生朗読をしていただく三次審査では、また違った要素を求められることになると思います。

本選に上がると、10名の招待審査員と30名の一般審査員(予定)により審査が行われます。
どのような結果になるか運営側もまったく予想がつきません。
どの方も持てる力のすべてを発揮できるように願っております。

朗読らいおん主宰・予選審査員 柳原路耀

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